第5回では、100年前のヨーロッパで行われていたパラフィン注入のお話をしました。
低くくぼんだ鼻筋を高くするために溶かしたパラフィンを皮膚の下に注入したものの、組織の中でしこりを形成して炎症を引き起こし、最終的には廃れてしまった方法です。
遠い国の昔話のように聞こえるかもしれませんが、韓国でも長い間、似たようなことが行われていました。
医療機関ではない場所で正体不明の物質を注入され、10年以上経ってからそれを取り除くために病院を訪れる方々がいました。
大学病院にいた頃、執刀医としてそうした手術を数多く担当しました。その時に学んだことがあります。
入れるのは数分で済みます。しかし、取り出すのには膨大な時間がかかります。そしてそれでも、元通りの状態には戻らないのです。
液体や半液体の状態で注入された物質は組織の隙間に染み込むため、境界のはっきりした塊のまま留まることはありません。
異物がどこで終わり、どこからが自身の組織なのか、目視では判別できない状態になります。
そのため、このような手術では同時に二つの判断が求められます。
どれだけ取り除くべきか、そしてどこで止めるべきかです。跡形もなく完全に除去しようとして健康な組織まで失ってしまうと、その部位を再び満たすことはできません。
当院の診療において、異物除去のご相談が絶えないのもそのためです。
最近最も多いケースは、鼻に入れられた糸です。
切開を伴わずに鼻筋を高くする方法として施術を受けたものの、糸が触れる、透けて見える、あるいは炎症を起こしたという理由で、後になって来院されます。
糸の除去も同じ原理です。糸は鼻の組織内に定着するにつれ、その周囲に線維組織を形成します。
そのため、入れた時と逆方向にただ引っ張るだけでは抜けません。
糸がどの層に、どの方向に入っているのか、何年経過しているのか、どのような種類なのかによって、アプローチは全く異なります。
正直に申し上げますと、この手術は新しく鼻を形成するよりも時間がかかり、難易度も高くなります。
他人が作り出した状態から始めなければならないからです。どのような材料がどのように入っているのかは、実際に切開して初めて分かることも少なくありません。
だからこそ、私はカウンセリングでよくこうお伝えしています。
元に戻せることだけを行いましょう。
100年にわたる鼻整形の歴史の中で、最も大きな代償を払わせたのは、常に「手軽さ」を謳った方法でした。
パラフィンもそうでした。工業用シリコンもそうでした。そして名前も分からない無数の注入物質も同様であり、そのすべてが患者様を苦しめてきました。
入れる瞬間の手軽さと、取り出す瞬間の困難さは、常に反比例してきました。
私は現在登場している新しい方法も、同じ基準で見極めています。
後で問題が生じた時、これは取り出すことができるのか。そして取り出した時、鼻は元に戻るのか。
その二つの問いに答えられない方法は、私がお勧めすることはありません。
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